初めての動画制作。企業担当者が知るべき制作フロー、費用、失敗を避けるポイント

「動画制作を考えているけど、何から始めたらいいのか分からない」「費用はどのくらい?」「本当に効果があるのか」——こんな悩みを持つ企業担当者は多いのではないでしょうか。

実は、動画制作で失敗する企業の多くは、制作会社に依頼する前の準備が不足しています。「完璧な動画を作ればいい」と考えて制作に入り、完成後に「営業が使ってくれない」「問い合わせが増えない」という状況になっているケースがほとんどです。

この記事では、企業の動画制作を数多く手がけてきた経験から、制作前に決めるべきことや、目的別の制作ポイント、実際の相場・費用・期間、よくある失敗パターンを実務的に解説します。この情報を知っておくだけで、あなたの企業の動画制作は成功に大きく近づきます。


なぜ、企業の動画制作は失敗するのか

Google検索の分析結果からも、企業担当者が最も検索するキーワードは「動画制作 失敗」「動画制作 効果」といった悩みに関連する言葉です。つまり、多くの企業が動画制作で問題を抱えているということです。

失敗事例1:営業チームが使わない動画

ある中堅企業の事例です。営業活動を強化するため、100万円以上の予算をかけて動画を制作しました。映像品質は高く、タレントも起用した立派な動画でした。

ところが、営業チームからは「長すぎて顧客に見せられない」という声が上がりました。営業が顧客と面談する時間は限られており、その中で3分以上の動画を見せるのは現実的ではないということに、制作後に気づいたのです。結果として、その動画は活用されず、営業は従来のトークと資料での説明に戻ってしまいました。

失敗事例2:再生数は多いのに問い合わせが増えない

別の企業の事例では、動画マーケティングに力を入れ、HPにサービス紹介動画を配置しました。アクセス解析を見ると、動画は毎月1,000回以上再生されています。

しかし問題がありました。再生数と問い合わせ数の相関関係がなく、「動画を見た後、何をしたらいいのか分からない」というユーザーの声が寄せられたのです。実は、動画の下に問い合わせボタンを配置していなかったため、動画を見た顧客は、その後の行動に迷っていたのです。

失敗事例3:採用動画なのに応募者の質が変わらない

採用強化のため、企業文化を紹介する動画を制作した企業の事例です。制作費は50万円でしたが、動画公開後も応募者数、応募者の質に大きな変化がありませんでした。

理由を分析すると、その動画は「企業の全体像を理解してもらう」ことを目的に制作されており、一方で採用候補者が本当に知りたいのは「実際の仕事内容」「どんな社員がいるのか」といった現場の情報だったのです。制作前にターゲットのニーズを言語化できていなかったために、ズレが生じていたのです。

失敗の共通点

これらの事例に共通していることは、「動画を作ることが目的になってしまい、『何のために、誰に、どこで見せるのか』という戦略設計が不足していた」ということです。


制作前に決めるべき3つのこと

では、動画制作で成功するために、制作前に何を決めるべきなのか。3つのポイントを解説します。

ポイント1:「用途」を具体的に定義する

最初のステップは、動画をどこで、どんなシーンで使うのかを明確にすることです。「営業」「採用」「サービス紹介」という広いカテゴリーではなく、もっと具体的に定義する必要があります。

営業用なら

  • どのタイミングで見せるのか(初回面談?課題ヒアリング後?)
  • 誰に見せるのか(新規営業先?既存顧客?)
  • 視聴環境は?(対面で1対1?プレゼンテーション?)
  • 必要な尺は?(1分以内か、それとも3分まで許容か?)

採用用なら

  • どこに配置するのか(採用サイトトップ?説明会の冒頭?)
  • 誰が見るのか(新卒?中途採用者?)
  • 何を伝えたいのか(企業文化?仕事内容?職場環境?)
  • 期待する反応は?(応募数を増やす?応募者の質を上げる?)

サービス紹介なら

  • HPのどのページに置くのか(トップ?サービス詳細ページ?比較ページ?)
  • 訪問者は何を知りたいのか(機能?使い方?他社との違い?)
  • 見た後、何をしてほしいのか(資料請求?問い合わせ?購入?)

この「具体的な定義」がないと、「とりあえず企業紹介動画」という万能動画を作ることになり、結果的に誰にも刺さらない動画になってしまいます。

実務的なアドバイスとしては、制作会社に依頼する前に、社内で「この動画は何のために存在するのか」を営業チーム、採用チーム、経営層で話し合っておくことをお勧めします。その議論の中から、動画に求める要件が自然と見えてきます。

ポイント2:「ターゲット」と「削ぎ落とすメッセージ」を決める

次に重要なのが、ターゲットユーザーが本当に知りたい情報を言語化することです。同時に、「この情報は動画には入れない」という引き算も重要です。

営業向け動画の場合

営業が顧客に見せる動画では、顧客の課題と、それをどう解決するかという1点だけに絞ります。製品の全機能説明、企業の歴史、競合との比較——これらはすべて「後で説明する情報」として別の資料に任せます。

理由は単純です。初回面談では時間が限られており、営業は「顧客のペインを感じさせて、解決策を示す」ことに集中する必要があるからです。

採用動画の場合:

採用候補者が見たいのは、給与や福利厚生の詳細ではなく、「ここで働く人たちはどんな人か」「毎日どんな仕事をしているのか」といった現場感です。企業の規模や事業内容の詳しい説明は採用サイトのテキストで足りており、動画の時間は「実際の職場風景」「社員インタビュー」に充てるべきです。

サービス紹介動画の場合

「競合との違いは何か」という1点に絞り、機能の細かい使い方や価格表は別のページに置きます。視聴者が数秒で「あ、これ自分たちに必要だ」と思える構成を心がけます。

実際に、営業用動画の長さを「1分以内」に設定した企業では、営業チームの活用率が大幅に上がったという報告が複数あります。長さを決めることで、おのずと「何を入れるか」が見えてくるのです。

ポイント3:「動画を見た後のアクション」まで設計する

最後に見落とされやすいのが、「動画を見た後、ユーザーに何をしてほしいのか」という設計です。

営業向け動画の場合

  • CRMに動画を埋め込み、営業が「このタイミングで見せる」というルールを作る
  • 営業プレゼン資料の中に動画へのリンクを入れる
  • 測定:再生数ではなく、「この動画を見た案件の成約率」を追跡する

採用動画の場合

  • 採用サイトの動画の直下に「応募する」ボタンを配置
  • 説明会で動画を見せる場合、その直後に質問時間を設ける
  • 測定:動画視聴者の応募率、応募者の入社後のマッチング度を追跡

サービス紹介動画の場合

  • HPの動画下に「資料請求」「無料トライアル」「お問い合わせ」ボタンを配置
  • メール配信時に動画リンクを入れる場合、その直後に行動喚起を入れる
  • 測定:動画視聴者からの問い合わせ数、資料請求数を追跡

多くの企業は「動画を作ること」がゴールになっていますが、本来のゴールは「動画を見た後、ユーザーが行動すること」です。この設計があるかないかで、動画の価値は大きく変わります。


目的別の動画制作:相場、期間、特徴

では、実際に動画制作を依頼する場合、どのような選択肢があり、どのくらいの費用と期間がかかるのか。目的別に説明します。

営業用短編動画(1分以内)

用途  営業の初回面談、提案資料の補足、メール配信

制作相場  30万〜80万円

制作期間  2週間〜1ヶ月

特徴

  • 複雑な説明ではなく、顧客のペイン+解決策に絞ったシンプルな構成
  • アニメーションやナレーション、実写を組み合わせることが多い
  • 修正が少ないほど費用と期間を削減できる

制作時のポイント

  • 営業チームへの事前ヒアリングが重要。実際の顧客との会話から、どの課題が多いのかを把握する
  • 冒頭3秒で「これ、自分たちの話か」と顧客に感じさせるメッセージ設計が成功のカギ
  • 完成後、営業チーム全員で使い方をシミュレーションすることで、活用率が高まる

採用動画(30秒〜2分)

用途  採用サイト、説明会冒頭、SNS配信

制作相場  50万〜150万円(社員インタビュー含む場合は高くなる傾向)

制作期間 3週間〜6週間(社員の日程調整含む)

特徴

  • 実写が中心。実際の社員や職場風景を映すことで、テキストでは伝わらない雰囲気を表現
  • 企業文化や職場環境を「見せる」ことが目的のため、高度な編集技術より、被写体の選定と構成が重要
  • 複数の長さバージョン(30秒版、60秒版、2分版)を同時制作することで、効率化が図れる

制作時のポイント

  • 「経営層のメッセージ」よりも「現場の社員の声」を重視する。候補者は実際の同僚がどんな人かを知りたい
  • 撮影日程の調整が最大の課題。複数社員の日程を合わせるため、早めの計画が必要
  • 社員へのインタビューは、事前の質問設計と信頼関係構築が重要。本音が引き出されるかで動画の質が大きく変わる

サービス紹介動画(30秒〜90秒)

用途  HP掲載、メール配信、LP、営業資料補足

制作相場  40万〜120万円

制作期間  2週間〜1ヶ月半

特徴

  • アニメーション、実写、スクリーンショットなど複合的な表現を使うことが多い
  • 「何ができるのか」を分かりやすく、かつ簡潔に伝えることが重要
  • 競合他社と差別化できるメッセージ設計が成功の分け目

制作時のポイント

  • 「製品の全機能を入れたい」という要望が多いが、これは避けるべき。視聴者が「一番重要な差別化ポイント」は何かを、制作前に営業・マーケチームで合意しておく
  • 実際のユーザーの声や事例を動画内に含めると、説得力が高まる
  • 動画の下部に必ず行動喚起(CTA:「資料請求」「問い合わせ」等)を配置することが重要

動画制作を依頼する前にチェックするべきこと

実際に制作会社に依頼する前に、社内で確認しておくべき項目をリストアップしました。このチェックリストを埋めて制作会社に提出することで、制作期間の短縮と、完成度の向上が期待できます。

□ 動画の用途(営業/採用/サービス紹介など)を決めたか

□ ターゲットユーザー像を言語化できているか

  • 年代、役職、課題は何か

□ 尺(長さ)の目安を決めたか

  • 最短で何秒から、最長で何秒まで許容するか

□ 主要なメッセージは何か(1〜3点に絞ったか)

□ 動画を見た後、ユーザーに何をしてほしいのか(アクション)を決めたか

□ 予算の目安を決めたか

□ 制作期間の目安を決めたか

□ 既存の資料や素材(写真、映像、テキスト)を提供できるか

□ 社内の確認体制(承認者、修正指示の流れ)を決めたか

このリストを埋めるプロセスの中で、「実は動画より資料の改善が先かもしれない」「複数の短いバージョンに分けた方が効率的では」といった気づきが生まれることも多くあります。


よくある質問と回答

企業担当者からよくいただく質問をまとめました。

Q1:動画制作にはどのくらいの期間がかかりますか?

A: 制作内容によって大きく異なりますが、一般的には2週間〜2ヶ月程度です。

短編動画(30秒〜1分)で素材提供やヒアリングがスムーズなら2〜3週間で完成することもあります。一方、社員インタビューを含む採用動画や、複数の実写シーンを撮影する必要がある場合は、1.5ヶ月以上かかることもあります。

最大の時間がかかるのは「社内承認」と「修正」です。複数の確認者がいる場合や、修正が複数回発生する場合は、計画以上に時間がかかることがあります。そのため、制作開始前に「承認者は誰か」「修正は最大何回まで」といったルールを決めておくことをお勧めします。

Q2:動画制作の費用には何が含まれていますか?

A: 一般的には以下の項目が含まれます

  • 企画・構成(どんな内容にするかの設計)
  • スクリプト作成(台本・ナレーション原稿)
  • ナレーション録音(必要な場合)
  • デザイン・アニメーション制作
  • 実写撮影(必要な場合)
  • 動画編集・調色
  • 修正対応(通常は2〜3回まで)

一方、以下の項目は別途費用がかかることもあります

  • 実写撮影時のスタジオレンタル
  • 有料素材の購入
  • 翻訳・字幕制作(複数言語対応)
  • 著名人やタレントの起用
  • 大規模なロケーション撮影

費用を抑えるコツは、「既存の写真や動画素材がある場合は提供する」「修正を最小限に留める」「複数バージョンを同時に制作する」などが挙げられます。

Q3:動画制作で失敗を避けるためには?

A: 最大の失敗要因は「制作前の戦略設計が不足すること」です。以下のポイントを押さえておくことで、失敗を大幅に避けることができます

① 目的を明確にする

  • 「営業の説得力を高める」「採用応募を増やす」など、具体的な成果目標を決める
  • 目的が不明確だと、制作会社も「どんな動画を作るべきか」の判断ができません

② ターゲットを絞る

  • 「全ての顧客に訴求する万能動画」は、結果的に誰にも刺さらない動画になります
  • 「新規営業先の経営層向け」「採用サイトを見ている新卒向け」など、できるだけ具体的に

③ メッセージを削ぎ落とす

  • 「あれも大事、これも大事」と詰め込むと、視聴者の心に何も残りません
  • 「この1点だけは伝えたい」というメッセージに絞ることで、記憶に残る動画になります

④ 測定の仕組みを作る

  • 「動画は見られたけど、その後何が起きたのか分からない」という状況を避ける
  • 営業なら「この動画を見た案件の成約率」、採用なら「動画視聴者からの応募数」など、事前に測定項目を決めておく

Q4:短編動画と長編動画、どちらがいいですか?

A: 用途によって異なりますが、ビジネス動画では「短編」が圧倒的に有利です。

営業現場では、顧客との対話時間の中で1分以上動画を見せることは難しく、採用動画でも30秒で企業文化が伝わると、その後のページへの遷移率が高まります。

ただし、オンライン商談やウェビナーの資料として使う場合や、顧客教育を目的とした詳しい説明動画が必要な場合は、3〜5分の中編動画が適切なこともあります。

重要なのは「用途に合わせて長さを決める」ことです。

Q5:制作会社を選ぶ時のポイントは?

A: 重要なポイントは以下の通りです

① ポートフォリオで「同業種・同目的」の事例があるか

  • 営業動画が必要なら、営業用動画の制作実績を確認
  • 映像の美しさよりも、「それが実際に活用されているか」を確認

② 「企画・構成」に力を入れているか

  • 制作技術より、「何を伝えるか」の設計ができているかが重要
  • ヒアリング時に、制作会社が「目的は何か」「誰に見せるのか」といった質問をしてくるかが判断基準

③ 修正対応の条件が明確か

  • 「修正は何回まで」「修正の範囲は」といった条件がはっきりしているか
  • 曖昧だと、後からトラブルになるリスク

④ 制作期間の見積りが現実的か

  • 異常に早い納期は、品質低下のリスク
  • 逆に、シンプな短編動画なのに2ヶ月以上かかるというのは効率が悪い

まとめ:動画制作の成功は「企画」で決まる

動画制作で成功する企業と失敗する企業の最大の違いは、「企画・構成」に時間をかけたかどうかです。

映像の美しさ、タレントの起用、派手なエフェクト——こうした要素より、「誰に、何を、どこで、その後どうしてもらうか」という設計が、10倍重要です。

この記事で紹介した「制作前に決めるべき3つのこと」を、社内で協力して言語化することで、あなたの企業の動画制作は確実に成功に近づきます。

もし「自社の動画制作について、相談してみたい」という場合は、お気軽にお問い合わせください。目的や現状のヒアリングから、最適な動画戦略のご提案まで、丁寧にサポートさせていただきます。


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