営業動画が成果に繋がらない理由。クラシルから学ぶ配置戦略

「新しい営業動画を制作したのに、思ったような成果が出ない…」。こうした相談を、マーケティング担当者からよく耳にします。

多くの企業は「動画の質が足りないのでは」と考え、さらにお金をかけて制作クオリティを高めようとします。しかし実は、**成果を左右する要因の90%は「動画を何にするか」ではなく「どこに、いつ、どのように配置するか」**なのです。

本記事では、月間1億再生を達成したレシピ動画サービス「クラシル」(dely株式会社)の戦略を分析し、制作から配置運用まで、中小企業が実装可能な動画マーケティング戦略をお伝えします。あなたの企業の動画がなぜ成果に繋がっていないのか、その理由と解決策が見えてくるはずです。


多くの企業が陥る「制作ファースト」の罠

目次

動画制作にかけるお金は増えているのに、成果は増えていない

まず、現状を整理しましょう。企業の動画マーケティングの予算は年々増加しています。一方で、「動画を制作したのに売上に繋がらない」という悩みも増えています。

この矛盾はなぜ起きるのか。理由はシンプルです。ほぼすべての企業が、制作段階に予算と時間をかけすぎて、配置と測定の設計をおろそかにしているからです。

制作と配置の優先順位が逆転している

営業動画の制作過程を見ると、次のような流れが一般的です。

  1. 企画会議で「営業で使える動画をつくろう」と決定
  2. 外部の制作会社に依頼
  3. 撮影・編集に数週間かける
  4. 完成した動画をHPに掲載し、営業チームに共有
  5. 「できました。使ってください」で終わり

ここで注目すべき点は、「動画をどう見せるか」という配置戦略がどこにもないということです。

クラシルはこれと全く逆のアプローチを取っています。


クラシルが実現した「配置ファースト」の戦略

1000本超の動画をインハウス制作する理由

クラシルのマーケティング責任者・小平剣也氏は、インタビューで次のように述べています。

「広告運用を始めた頃から、1000本を超える動画を自社で制作できる体制がありました。代理店を通さず、すべてインハウスでクリエイティブの制作から広告運用まで行えるため、弊社のマーケティングにおける推進力の源泉ともいえます」

ここで重要なのは、1000本つくることが目的ではなく、「配置の試行錯誤を高速化するための体制」だということです。

外部制作会社に依頼すれば、1本の動画完成に数週間かかります。しかしインハウス体制なら、効果が悪い動画は翌日に新しいパターンに変更できます。つまり、PDCAサイクルを数日単位で回せるのです。

配置と測定の設計が実店舗の購買まで左右する

クラシルの具体例として「豆苗」のケースを見てみましょう。

2016年秋、クラシルは豆苗のレシピ動画を継続配信し始めました。これは「1本つくって終わり」ではなく、季節や消費者トレンドに合わせて、継続的に配信し続ける戦略です。

その結果、翌年の2017年4〜5月、豆苗の出荷量は**前年比160%(60%増)**という驚異的な数字を達成しました。これは日本全国の流通データであり、動画マーケティングが実際の購買行動を変えた証拠です。

この成功の秘密は「いい動画をつくったこと」ではなく、「継続的な配置戦略」です。農産物の販売は季節性が強いため、「春に向けて秋から準備を始める」という時間軸を持って配置設計をしたからこそ、実店舗の売上に繋がったのです。

広告なのに「コンテンツ」として消費される仕組み

クラシルのもう一つの特徴は、アプリで配信しているコンテンツをそのまま広告素材として使用するということです。

通常、企業は「コンテンツ用の動画」と「広告用の動画」を分けて制作します。広告用は、売り込み色が強く、クリックを促す訴求になるためです。

しかしクラシルは「あくまでクラシルのコンテンツである動画を見せるということから大きくブレずに、広告としてではなくコンテンツとしてユーザーに消費される」ことを目指しています。

その結果、インフィード広告で配信された動画は、約70万再生でいいね数が2.5万、シェア数が5000を超えるという異次元の反応を生み出しています。

通常の広告がここまでのシェア数を獲得することはあり得ません。なぜなら、ユーザーが「これは広告だ」と意識せず、純粋に「面白いコンテンツ」として認識しているからです。


中小企業が今すぐ実装できる3つのステップ

ここまで読んで「クラシルの戦略は参考になるけど、うちには1000本も動画を制作する余裕がない…」と感じる担当者も多いでしょう。ご安心ください。クラシルのやり方をそのまま真似する必要はありません。

重要なのは 「既存の動画資産をどう活用するか」という配置の発想です。以下の3ステップで、あなたの企業でも実装できます。

ステップ1:既存のコンテンツを棚卸しする

まず、あなたの企業が持っている動画資産を全てリスト化しましょう。

  • YouTube動画
  • HP掲載動画
  • 営業資料の動画パート
  • 過去のセミナー映像
  • 導入事例のインタビュー動画

多くの企業は、これらが「すでに面白い」と判定されたコンテンツであることに気づいていません。

ステップ2:配置を設計する(プラットフォーム×時間帯×継続期間)

次に、どこに、いつ、どのくらい見せるかを決めます。

例:営業資料動画の場合

  • Instagram:見込み客が活動する夕方(18〜20時)
  • LinkedIn:意思決定者がチェックする朝(8〜9時)
  • メールマガジン:新規見込み客への導入前段階
  • 継続期間:最低3ヶ月は同じパターンで配信(豆苗事例のように季節性を考慮)

ステップ3:測定と改善(何を測定するか、を先に決める)

最後に「何を成功の指標とするか」を定義します。

多くの企業が「再生数を増やすこと」を目標にしますが、それは間違い。本当に測定すべきは:

  • 営業動画:再生後の商談化率、案件化数
  • 採用動画:再生後の応募者数、応募者の質
  • 導入オンボ動画:視聴完了率、その後の継続利用率

つまり、「最終的なビジネス成果に繋がったか」という指標が重要なのです。


よくある質問:動画制作・配置戦略

Q1:「既存の動画でも配置を工夫すれば、成果は出ますか?」

A:出ます。ただし条件があります。

既存の動画が「本当に有用なコンテンツ」であることが前提です。クラシルの例でも、配置戦略の前提は「ユーザーが見たいと思うレシピ動画」であることです。

もし既存の動画が「営業っぽい」「売り込み感が強い」という場合は、配置より先に「コンテンツの改善」が必要になります。この場合は、新規制作も検討する価値があります。

Q2:「配置戦略の効果が出るまで、どのくらい時間がかかりますか?」

A:最短で3ヶ月、効果を実感するには6ヶ月を目安にしてください。

豆苗の事例では、秋から配信を始めて、翌年春(6ヶ月後)に購買行動の変化が起きました。特に、営業動画や導入オンボ動画の場合、購買サイクルが長いB2B企業では、さらに時間がかかることもあります。

重要なのは「短期的な成果を期待するのではなく、継続的な配置を続けること」です。

Q3:「動画制作を外注する場合、どのような指示をすれば効果的ですか?」

A:「完成度の高さ」より「配置を前提とした設計」を指示してください。

多くの企業が制作会社に「プロモーションビデオをつくってください」という曖昧な指示をします。制作会社は「映像美」や「ストーリー性」を重視し、結果として「売上に繋がりにくい綺麗な動画」ができます。

代わりに、以下の指示をしてみてください:

  • 対象者:誰に見せるのか(営業向け、経営層向け、エンドユーザー向け など)
  • 配置先:どこで使うのか(Instagram、メール、HP など)
  • 期待行動:見た後、ユーザーに何をしてほしいのか(商談申し込み、資料ダウンロード、応募 など)
  • :制限時間(15秒、1分、3分 など。配置先によって異なる)

このような実務的な指示があれば、制作会社も「配置を前提とした動画」をつくることができます。

Q4:「インハウス制作と外注制作、どちらを選ぶべきですか?」

A:「配置スピード」が重要なら インハウス、「クオリティ」が最優先ならハイブリッド型をお勧めします。

クラシルがインハウス体制を選んだのは、試行錯誤を高速化するためです。これは、配置の効果測定結果に基づいて「翌日に新しいパターンを試す」という運用を前提としています。

一方、中小企業の多くは「月1本、高クオリティな動画を制作する」というスタイルです。この場合は、制作は外注にして、制作完了後の配置と測定に注力する方が効率的です。

ハイブリッド型としては、以下がお勧めです:

  • メイン動画(ブランド動画、導入事例):外注で高クオリティ制作
  • 配置用パターン動画(同じ内容で字幕やテロップを変更):簡易的なインハウス編集

このやり方なら、制作コストを抑えながら、配置の試行錯誤も可能です。

Q5:「配置戦略と制作予算の配分は、どのくらいが目安ですか?」

A:制作60%、配置・測定40%が理想的なバランスです。

従来の企業は「制作90%、配置10%」という配分になっていることが多いです。これがクラシルとの差です。

例えば、動画マーケティングに月30万円の予算がある場合:

項目従来型推奨型
動画制作27万円18万円
配置・広告費3万円9万円
測定・分析ツール0円3万円

推奨型では、制作クオリティは若干下がるかもしれませんが、配置と測定に予算を回すことで、ROIは大幅に改善します。


実装前に確認すべき3つのポイント

最後に、あなたの企業で動画マーケティングを本格化させる前に、確認すべきポイントをお伝えします。

ポイント1:「何を測定するか」を、制作前に決めておく

制作開始の前に、成功の定義を言語化してください

  • 営業動画なら「商談化率が5%以上」
  • 採用動画なら「応募者数が月3件以上」
  • オンボーディング動画なら「視聴完了率が80%以上」

この指標が明確なら、制作会社への指示も正確になります。

ポイント2:配置先に合わせた尺とフォーマットを用意する

同じ内容でも、プラットフォームによって最適な尺が異なります。

  • Instagram:15秒〜1分(ショート)、9:16の縦型
  • LinkedIn:1〜3分、16:9の横型
  • メール:30秒〜1分(目を引く冒頭が重要)
  • HP:3分以上(詳細説明重視)

「1本つくったら終わり」ではなく、同じコンテンツから複数のフォーマットを派生させる考え方が重要です。

ポイント3:最低3ヶ月の継続配信を前提に予算を組む

豆苗の事例のように、動画マーケティングは短期的な効果を期待するものではありません

特にB2B企業の場合、営業サイクルが長いため、6ヶ月〜1年単位で配置戦略を考える必要があります。

「今月だけ試してみる」という予算の使い方ではなく、「この四半期の中で継続配信する」という視点を持ってください。


あなたの企業の動画マーケティング、まずは相談から

ここまで読んでいただいて、「うちの企業でも配置戦略を工夫すれば、もっと成果が出るかもしれない」と感じていただけたなら幸いです。

ただし、配置戦略は「理屈」と「実装」では大きく異なります。あなたの企業の商材、営業サイクル、ターゲット層によって、最適な戦略は変わってくるからです。

当社では、制作だけでなく、「どう配置し、どう測定するか」という運用設計も含めた相談をお受けしています。

以下のようなご相談が多いです:

  • 「既存の動画をもっと活かしたいけど、配置の方法がわからない」
  • 「営業が使える動画をつくりたいが、どのような形式が効果的か」
  • 「採用動画を制作したいが、どう配信すれば応募者が増えるか」
  • 「動画マーケティングの成果を測定する仕組みがない」

特に、「制作より配置と測定を優先したい」という企業であれば、当社のアプローチは最適です。


無料相談で、まずは「方針」を言語化しませんか?

動画制作を検討される際に「これくらいの予算でこのような効果が出るのか」「うちの場合はどのような戦略が効果的か」といった疑問が出てくるのは自然なことです。

当社では、時間無制限の無料相談を常時受け付けています。

相談の中では、以下のようなことを一緒に言語化していきます:

  • あなたの企業の営業課題や採用課題が、どのような動画で解決できるか
  • クラシルのような配置戦略を、あなたの商材にどう適用するか
  • 制作から配置、測定までの全体スケジュール
  • 予算の最適な配分

「いきなり制作を依頼するのは敷居が高い」という企業も多いので、まずは相談ベースでお気軽にご連絡ください。

相談だけで「ああ、うちの場合はこういうアプローチが効果的なんだ」と気づいていただくことも多いです。


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動画マーケティングの戦略設計や、制作についてのご相談は、下記からお気軽にお問い合わせください。

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