展示会ブースに立ち寄った来訪者は、わずか数秒で「このブースを見続けるか」「別のブースへ移動するか」を判断します。その決断を左右する強力な武器が「展示会動画」です。
しかし、多くの企業は「動画があればいい」という程度の認識で制作を進め、予算配分や尺の選び方、制作期間の計画がずれたまま展示会当日を迎えてしまいます。その結果、営業スタッフは説明に追われ、来訪者の理解度は上がらず、商談化にもつながらない——こうした失敗は珍しくありません。
本記事では、展示会動画の制作費用相場から実装までの流れ、実際の企業事例まで、実務的なノウハウをまとめました。展示会での動画活用を検討している企業の経営者・マーケティング担当者の皆さんが、意思決定できるレベルの情報をお届けします。
展示会動画とは|展示会ブース動画が求められる理由
目次
展示会動画とは、展示会ブースに設置したモニターでループ再生される動画コンテンツを指します。単なる「宣伝映像」ではなく、以下の3つの役割を担うマーケティングツールです。
通路での集客
遠くからでも視認性の高い動画は、通路を歩く来訪者の視線をブースへ誘導します。業界では「来訪者が立ち寄るか移動するかの判断は最初の3秒」という認識が共有されており、その短い時間で興味を引くことが重要です。
来訪者の理解促進
複雑なサービスや製品も、動画なら短時間で直感的に理解させられます。実写、アニメーション、3DCGなど表現手法を組み合わせることで、テキストや静止画では伝わりにくい価値を可視化できます。
営業スタッフの説明負担軽減
営業スタッフが常に説明していなくても、動画があれば来訪者は自力で情報を得られます。スタッフの時間をより高度な商談に集中させられるため、展示会全体の営業効率が向上します。
展示会ブース動画は、単なる装飾ではなく、来訪者を商談へ導く戦略的なツールなのです。
展示会動画の長さ(尺)の選び方|短尺から長尺まで
展示会動画の効果は「尺」に大きく左右されます。短いほど良い、長いほど詳しい——こうした一般的な認識は間違いです。重要なのは「来訪者が購買判断に必要な情報を、その尺で伝えられるか」という設計です。
短尺動画(15秒~30秒)の活用場面
目的: ブース通路での「足を止める」集客
特徴: 来訪者がすでにサービスの概要を知っている場合や、「強みと他社との違い」を一瞬で伝えたい企業に最適です。アニメーション手法を用いることで、シンプルながらも印象的な動画になります。
制作費用相場: 15万円~30万円程度(フリーランスによる簡易構成の場合)~50万円程度(企画・構成付き)
中尺動画(30秒~1分30秒)の活用場面
目的: 来訪者の疑問を引き出し、関心を高める
特徴: 冒頭で「あなたの課題」を提示し、その解決策を示すという設計が有効です。採用活動や人事向けコンテンツ、シンプルな製品紹介に適しています。
制作費用相場: 30万円~60万円程度(企画・撮影・編集を含む場合)
長尺動画(2分~3分以内)の活用場面
目的: サービスの複雑さを図解し、実機画面を見せながら詳細説明
特徴: 無形サービス(SaaS、バーチャル空間プラットフォームなど)の仕組みを説明する際に効果的です。実写と実機画面を組み合わせることで、来訪者の理解度を高めることができます。
制作費用相場: 50万円~100万円程度、業界実績としては100万円~150万円が多くを占めます
展示会動画の制作費用相場|実務的な予算ガイド
展示会動画の制作費は、内容によって大きく変動するため、「いくらが相場か」という単純な答えはありません。2024年~2025年の業界動向として、以下の費用感を参考にしてください。
制作手法別の費用相場
| 制作手法 | 費用相場 | 特徴 |
|---|---|---|
| 実写動画 | 50万円~150万円 | 撮影機材、カメラマン、ロケ費用が必要。信頼感と現場感が強み。安価な実例としては20万~50万円も可能だが、品質・期間に制限あり |
| アニメーション動画 | 50万円~100万円 | 絵コンテ、デザイン、動きの設計が工程。キャラクター設定がある場合はさらに増加 |
| モーショングラフィックス | 30万円~80万円 | 図解やテキストを動かして情報を整理。説明動画に最適で、アニメーションより簡易 |
| 実写+アニメ複合型 | 50万円~150万円以上 | 実機画面や撮影素材とアニメーションを組み合わせた高度な構成。ボリュームゾーンは100万円~150万円 |
費用が変動する主要因
① 撮影規模と日数
撮影が1日で完結するか、複数日必要か、外部ロケを使うか、スタジオ使用料はあるか——こうした要因が大きく費用を左右します。
② 出演者・ナレーション
社内スタッフのみの撮影なら費用は低く抑えられますが、俳優やナレーターを起用すればギャラが発生します。プロナレーション(制作会社経由)は7万円~30万円程度の追加費用が必要です。フリーランスナレーターへの直接依頼で4万円~20万円程度というケースもありますが、制作会社経由の場合は10万円を超えることが一般的です。
③ 演出の複雑さ
カット数が多い構成、ドローン撮影、3DCGなどの特殊表現を入れると、撮影時間と編集工数が増え、費用が増加します。
④ 修正対応の範囲
見積もり段階で「修正は何回まで」という条件を確認しておくことが重要です。無制限対応を前提にされると、予期しない追加費用が発生する可能性があります。
予算別の制作パターン例
30万~50万円帯
企画構成あり、簡易撮影または既存素材活用、テロップ・BGM付き。短納期対応可能。展示会後もWebサイトやSNSで活用可能。
50万~100万円帯
本格的な企画構成、カメラマンによる撮影(1~2日程度)、テロップ・BGM・簡易アニメーション。現在最も一般的な価格帯。
100万~150万円帯
複数日ロケ撮影、プロナレーション、高度なアニメーション要素、複数回の修正対応を含む。
150万円以上
ブランディング重視。ストーリー設計、高度なCG、複数日本格的なロケ撮影、俳優キャスティング。企業のイメージを大きく向上させる投資型。
展示会動画の制作期間|計画的なスケジュール
展示会動画の制作期間は、通常1.5~3ヶ月が目安です。ただし、撮影素材の準備状況や修正回数によって前後します。
標準的な制作フロー
企画・ヒアリング(1~2週間) 来訪者属性、動画の目的、伝えたいメッセージ、成功指標の定義を整理。
絵コンテ・構成案作成(1~2週間) 動画の流れ、シーン構成、ナレーション・BGMの使い方を具体化。
撮影・素材収集(1~3週間) 実写撮影、既存素材の提供、デザインやアニメーション素材の制作。
編集・初版納品(2~3週間) 動画の組み立て、テロップ・効果音の追加、カラーグレーディング。
修正対応(1~2週間) ご指摘の内容に基づき、修正を施して最終納品。
展示会3ヶ月前の着手が理想的な理由
展示会まで3ヶ月あれば、企画から納品まで余裕を持ったスケジュールが組めます。急ぎの場合は4~6週間での制作も可能ですが、修正時間が限られるため、企画段階の精度が最初から高いことが条件になります。
展示会の搬入日に向けて逆算し、制作会社との打ち合わせを早めに開始することをお勧めします。
展示会動画の企業事例|尺と設計の工夫から学ぶ
展示会動画の効果を理解するため、複数企業の活用事例を紹介します。これらは動画制作業界で公開されている実例です。
事例1:短尺アニメーションで「強みに絞った」企業
事業内容: 法人登記サービスを展開するIT企業
動画の特徴: 6秒~15秒の短尺アニメーション動画
戦略: 法人設立という手続きを知っている来訪者に対して、「自社サービスの強み」を一瞬で印象付けることが目的です。情報を厳選し、無駄な説明を徹底的に削ぎ落とすことで、短い尺でも来訪者の関心を引き続けることに成功しています。
出典: key MOVIE(展示会動画の成功事例として紹介)
事例2:質問設計で「来訪者を引き込んだ」企業
事業内容: 新卒採用を強化する建設関連企業
動画の特徴: 30秒採用動画
戦略: 冒頭で「『なにがある?』という質問を提示する」という設計により、来訪者は無意識にこの問いへの答えを求めながら動画を視聴します。社員インタビューを通じて企業文化を理解する構成で、営業スタッフへの初歩的な質問を減らし、より深い採用面談へ導くことに成功しています。
出典: key MOVIE(展示会動画の成功事例として紹介)
事例3:複雑さを図解した「3分動画」企業
事業内容: バーチャル空間プラットフォーム(イベント・オフィス向け)を提供するIT企業
動画の特徴: 3分間の実写×実機画面構成
戦略: このサービスは概念が複雑なため、短い動画では説明しきれません。そこで3分間の動画を制作し、実際の操作画面を見せながら「どんな場面で使えるか」という具体例を複数紹介。導入企業のインタビュー映像を交えることで、来訪者の理解度が向上し、営業スタッフの説明時間を削減できたと報告されています。
出典: key MOVIE、proox.co.jp(展示会向けサービス紹介動画の制作実績として紹介)
3つの事例の共通点: 企業の課題に応じて「尺」を選び、来訪者が何を知りたいのか、その「目的」を軸に構成が設計されていることです。
展示会ブース動画の効果を最大化する設置と運用
展示会動画の制作が完了しても、ブースでの設置方法や営業スタッフとの連携がずれていれば、効果は半減します。
ブース内でのモニター配置
通路側の大型モニター
足を止める集客が目的。視認性の高い、インパクトのある短尺動画を配置するのが効果的。
ブース内の展示台横
より詳しい説明動画を配置。来訪者がブース内に入ってからも、営業スタッフの説明を補完する役割を果たします。
商談スペース
導入事例やお客様の声など、購買を後押しする動画を配置。この段階では、来訪者の購買意欲が高まっているため、より説得力のある内容が有効です。
営業スタッフとの役割分担
動画があることで、営業スタッフは「基本説明」から解放され、「課題ヒアリング」と「カスタマイズ提案」に時間を使えるようになります。展示会直前には、営業チーム全員で動画の内容を共有し、どのタイミングでどの動画を見せるかを統一しておくことが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1:展示会動画は音声あり・なし、どちらが効果的?
展示会は音が混雑しており、音声ありの動画では来訪者に情報が届きません。基本はテロップ中心、ナレーションなしの「音声なし」構成がお勧めです。これは業界の共通見解です。ただし、商談スペースなど個別ブースでしたら、音声ありも効果的です。
Q2:複数の短尺動画と1本の長尺動画、どちらが効率的?
来訪者の足を止める集客なら複数の短尺動画、詳細説明が必要ならば1本の長尺動画です。理想的には両者を組み合わせ、通路では短尺で興味を引き、ブース内では長尺で理解を深めるという段階的な構成が最も効果的です。
Q3:既存の撮影素材を活用できますか?
可能です。既存の素材があれば、制作費用と期間の両方を削減できます。ただし、画質やアスペクト比が展示会用に最適化されているかは別途確認が必要です。
Q4:展示会後、別の用途で動画は使える?
はい。展示会用に制作した動画は、Webサイト、SNS広告、営業資料、採用サイト、YouTube企業チャンネルなど、複数の場面で二次利用可能です。制作時点で「展示会後の活用」を念頭に置いて企画することで、ROI(投資対効果)が大幅に向上します。
Q5:制作会社はどう選べばいい?
以下の3点を確認してください。
(1)展示会動画の制作実績が複数あるか
(2)企画から納品まで一貫対応できるか
(3)修正対応の範囲と追加費用の条件が明確か。
また、ポートフォリオを確認し、自社の業界や目的に合った実績を持つ会社を選ぶことが重要です。複数の制作会社から見積もりを取得し、費用・期間・内容を比較することをお勧めします。
展示会動画制作の最後のステップ|準備すべきこと
展示会動画の制作を依頼する前に、以下の3点を整理しておくことで、スムーズな打ち合わせと納期内の完成が実現します。
① 来訪者属性の定義
展示会に訪れる来訪者は誰か。職位、業種、抱えている課題は何か。この定義が、動画の内容と尺を決める最初のステップです。
② 動画の目的と成功指標の設定
「商談につなげる」「認知を高める」「営業の説明時間を減らす」——目的は企業によって異なります。目的が決まれば、成功を測定する指標(来訪者数、商談化数、営業時間削減など)も自動的に決まります。
③ 予算と期間の確認
展示会日程から逆算し、現実的な制作期間を見積もります。本記事で示したように、現在の業界相場は100万円~150万円帯が多いため、それを基準にしつつ、自社の優先順位(品質重視か、コスト重視か)を決めておくと、制作会社との商談が進めやすくなります。急ぎの場合は追加費用が発生する可能性も念頭に置いておきましょう。
まとめ:展示会動画で来訪者を商談へ導く
展示会動画は、単なる「映す道具」ではなく、来訪者を集客し、理解を深め、営業スタッフの効率を高める「戦略的なマーケティングツール」です。
短尺か長尺か、実写かアニメーションか——こうした選択は、すべて「来訪者が何を知りたいのか」「企業のどのような価値を伝えたいのか」という目的から逆算して決められるべきです。
費用相場や制作期間の知識があれば、制作会社との打ち合わせもスムーズです。現在の市場実態として、品質を備えた展示会動画の制作費は100万円~150万円程度が目安となります。ただし、最も大切なのは「企画の質」。展示会開始の3ヶ月前から、目的、来訪者属性、成功指標を整理した上で、制作会社に相談することをお勧めします。
複数の制作会社から見積もりを取得し、実績・期間・内容を比較した上で、自社に最適なパートナーを選んでください。展示会動画の企画、制作について、分からないことやご相談があれば、まずは無料相談をご利用ください。来訪者を商談に変える動画戦略を、一緒に考えさせていただきます。
さいごに
展示会動画の制作をお考えでしたら、以下の点についてご相談いただけます。
- 「現在の展示会動画の効果を向上させたい」
- 「複雑なサービスをどう動画化すべきか分からない」
- 「費用・期間の現実的な相場を知りたい」
- 「過去の動画をリメイクすることは可能か」
- 「展示会後の二次活用まで見越めた企画を立てたい」
当社は、B2B企業の営業支援を目的とした展示会動画の制作を多数手がけてきました。業種や企業規模に応じた柔軟な提案が可能です。
まずは無制限の無料相談をご活用ください。目的の整理から予算配分まで、現在のお悩みをお聞きした上で、最適な動画戦略をご提案させていただきます。

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