営業動画の作り方|プロが教える、成約率を上げる3つの設計ポイント

営業動画を作ったのに、視聴されない。視聴されても、商談に繋がらない。そんな悩みを抱える企業は多いものです。実は、その原因は動画のクオリティではなく、企画段階での「情報設計」 にあります。

この記事では、成功している企業が何をしているのか、実例を交えながら、営業動画の制作方法を解説します。費用感や制作期間、依頼時の注意点までをまとめました。


そもそも、営業動画はなぜ必要なのか

営業資料は、かつて「紙」と「スライド資料」が主流でした。しかし、ここ数年で企業の営業活動における動画活用は急速に広がっています。

営業動画が注目される理由:

情報保持率が高い。文字だけの説明より、映像を見た方が視聴者の脳に情報が残りやすい(米国国立訓練研究所の「ラーニングピラミッド理論」)ことが証明されています。また、営業担当者が毎回同じ説明をする負担が減り、意思決定者は自分のペースで情報を得られるため、営業効率が向上します。

しかし、ただ動画を作ればいいわけではありません。「何を伝えるか」「何を省くか」という設計が、成否を分けるのです。


なぜ、ほとんどの営業動画は視聴されないのか

企業が営業動画を作る際、往々にして陥る落とし穴があります。

落とし穴①:機能説明に偏る

多くの企業は、サービスの「機能」をすべて動画に詰め込もうとします。複数の利点、スペック、導入事例……。すべてを網羅しようとすると、動画の尺は5分、10分と伸びていく。

結果、視聴者の集中力は失われ、最後まで見てもらえない。Google Analytics で視聴維持率を測定すると、30秒で50%の人が離脱している、というケースが大半です。

落とし穴②:メッセージが複数ある

「導入すると営業成約率が上がる」「顧客管理が簡単になる」「レポート機能で見える化できる」。複数のメッセージを伝えようとすると、結局「何が一番大事なのか」が視聴者に伝わりません。

人間の脳は、複数の情報を同時に処理できず、強調が多いほど記憶に残らないという特性があります。

落とし穴③:製品紹介で終わっている

画面操作を見せたり、機能紹介に時間をかけたり……。「製品がどう動くのか」を説明することに終始すると、視聴者は「で、導入すると僕の仕事はどう変わるの?」という疑問を持ったままになります。


成功する営業動画の3つの設計ポイント

では、実際に成約率を上げている企業は、何をしているのか。ここからは、実例をもとに、3つの設計ポイントを解説します。

ポイント①:「課題提示→未来像」の流れで、視聴者の自分ごと化を作る

成功している営業動画は、冒頭30秒で「あ、これ自社の課題だ」と視聴者に気づかせます。

例:SaaS企業の営業動画

冒頭:「営業資料を何度も説明しているのに、案件が進まない」というシーンを映す →視聴者:「うちもそうだ…」と共感 ↓ 中盤:その企業がツールを導入すると、営業が提案資料を自動生成でき、説明時間が50%削減される場面を見せる →視聴者:「あ、こうなるんだ」と未来が見える

このように、視聴者の「困っている状態」から「解決した状態」への遷移 を見せることが重要です。

実務的な制作のコツ:

  • 冒頭3秒は、視聴者の課題が映るシーンにする
  • 「導入前」と「導入後」のBefore→Afterを明確に
  • 製品画面より、「使っている人の行動」を魅せる

ポイント②:メッセージを「1つ」に絞る

複数の効果を伝えたい気持ちは分かりますが、営業動画では「1つのメッセージに絞る」が鉄則です。

例:Appleの事例

iPhoneのカメラ機能を紹介する「Barbers」というCMがあります。内容は、客足が減っていた小さな床屋が、iPhoneのPortrait Mode(背景をぼかす機能)で顧客の髪型を撮影して窓に飾ると、通行人が興味を持ち、店が繁盛するという物語です。

注目すべき点:

  • 約70秒間、「Portrait Modeでこんなことができる」というメッセージ1つに絞られている
  • 防水機能、5G、その他の機能は一切出てこない
  • 視聴者は「あ、こういう時に使えるんだ」と、具体的な利用シーンを理解できる

営業動画も同じです。「成約率が上がる」「顧客管理が簡単になる」のうち、最も重要な1つを選び、そこに全力で映像を割く ことが、成功の秘訣です。

実務的な制作のコツ:

  • 企画段階で、伝える効果を複数列挙してから、1つに絞る
  • その他の効果は、HPやスライド資料に任せる
  • 動画は「その1つの効果を信じてもらう」ことに特化させる

ポイント③:「体験」を見せて、「説明」は最小限に

営業動画でありがちな間違いが、「製品の説明に時間をかけすぎる」ことです。画面上でボタンをクリックして、こんな機能が出てくる……。視聴者にとって、この情報は退屈です。

代わりに、「その製品を使っている人の行動」を見せる ことが大切です。

例:SaaS企業の営業動画(制作のビフォー・アフター)

❌ やってはいけない作り方:

営業担当者がパソコンに向かい、画面に映る管理画面を操作。「この機能で顧客情報を一元管理でき、検索が高速化されます。さらに、レポート機能で自動集計ができます…」とナレーションで説明。

✅ 成功する作り方:

営業マネージャーが、午前に5件のクライアントと商談。以前は毎回ファイルを探して資料を説明。それが導入後は、クライアント名を入力するだけで最新の提案資料が自動で表示される。営業マネージャーは商談時間を営業の質問に割け、案件が加速する。という「営業の実仕事風景」を見せる。

ナレーションは最小限。視聴者は「あ、こんなに仕事が楽になるんだ」と実感できます。

実務的な制作のコツ:

  • スクリーンキャプチャーより、実際の営業シーンを撮影
  • ナレーション原稿は150〜200字程度に絞る
  • セリフは「ユーザーのリアルな言葉」を使う

営業動画の制作費用と期間の目安

「営業動画を作りたいけど、いくらかかるのか分からない」という質問をよく受けます。ここでは、相場を解説します。

制作費用の相場

動画の種類費用制作期間特徴
シンプル型(実写30秒、テロップのみ)30~50万円2~3週間スマートフォン撮影、最小限の編集
標準型(実写60秒、ナレーション+テロップ)50~100万円3~4週間プロの撮影機材、基本的なVFX
高品質型(実写1~2分、複数シーン、高度な編集)100~200万円4~6週間複数ロケーション、複雑なトランジション、カラーグレーディング
カスタム型(企業ブランド映像、複数パターン)200万円~6週間以上フルプロダクション、ブランド統一、複数バージョン対応

実例: 営業動画(60秒、1ロケーション、ナレーション、テロップ)= 50~80万円程度 が実務的な相場です。

費用を抑えるコツ

  • 撮影日を集中させる :複数の動画を同一日に撮影すれば、1本あたりの費用が下がります
  • シンプルな構成にする :複数ロケーション、複雑なVFXはコスト増。1ロケーション、1メッセージで十分です
  • 企画段階での情報整理 :撮影前に「何を伝えるか」が決まっていれば、撮影日数が減ります

よくある質問(FAQ)

Q1:営業動画は何秒が最適ですか?

A: 目的によって異なります。

  • HP掲載(資料ダウンロードページ):15~30秒
  • メール配信(営業の提案資料として):30~60秒
  • 営業説明会(対面で使う場合):60~120秒

ただし、視聴者の集中力は30秒で50%低下する傾向があるため、60秒を超える場合は、2~3本に分割する ことをおすすめします。

Q2:撮影時に準備すべきものはありますか?

A: 以下の3点は事前に決めておいてください。

  1. 出演者の選定 :実際の営業パーソン、マネージャーなど。専門の俳優より、「リアルな人物」の方が視聴者に響きます
  2. 撮影ロケーション :オフィス、現場、カフェなど。複数ロケーションは制作費増。1~2ロケーションに絞るのが現実的です
  3. ナレーション原稿 :制作会社が構成案を提示しますが、企業の「言葉づかい」「トーン」を反映させることが重要です

Q3:動画制作後、どのように配信すればいいですか?

A: 配信先によって活用が変わります。

配信先用途効果測定
HP内(ブログ記事内)検索流入者への説明PV、平均滞在時間
メール既存リード向けの営業資料開封率、クリック率、商談化率
営業資料として(プレゼン時)対面説明の補完営業からのヒアリング
YouTube、SNSブランド認知拡大再生数、シェア数、コメント数

特に**「メール配信」は商談化率が高い傾向** にあります。新規リードに対して、営業がメールに動画を添付し、「5分だけ見てみてください」とカジュアルに送信することで、営業資料を読み込む時間を短縮できます。

Q4:営業動画の効果をどう測定すればいいですか?

A: 以下の3つの指標を組み合わせて見ることが重要です。

  1. 視聴維持率 :どこまで見てもらえたか。30秒で50%以下なら、冒頭の「課題提示」を改善する必要があります
  2. クリック率(CTR) :動画内のCTA(問い合わせボタンなど)がクリックされた率。低ければ、CTAの位置やメッセージを改善します
  3. 商談化率 :動画を見た人のうち、実際に商談に繋がった割合。これが最終KPI。1本の動画から月1~3件の商談が生まれれば、費用対効果が取れています

Q5:既存の営業資料を動画に変換できますか?

A: 部分的には可能ですが、おすすめしません。

理由は、営業資料(スライド形式)と動画は、「情報を伝える順序」や「視聴者の集中時間」が異なるから。スライド資料は、1ページに複数の情報を配置し、視聴者が自分のペースで読み込めます。動画は、時系列で情報が流れ、視聴者は受け身になります。

おすすめの方法:

既存資料の「構成」は参考にしつつ、動画用に再編成する。特に「冒頭の課題提示」と「メッセージの絞り込み」は、資料から最適な情報を抽出して新たに構築することが大切です。


営業動画の制作を検討する前に、確認すべき3つのポイント

最後に、実務的なアドバイスを3つお伝えします。

1:目的と視聴者を先に決める

「とにかく動画が欲しい」という企業は多いですが、まずは 「誰に、何を伝えるのか」 を言語化することが最優先です。

  • 視聴者は誰か:営業リード層?既存顧客?経営層?
  • その人の課題は何か:業務効率化?導入後の使い方?ROI?
  • 動画を見た後、どうして欲しいのか:問い合わせ?デモ申し込み?購買決定?

この3点が決まれば、制作会社との打ち合わせが圧倒的に効率的になります。

2:複数本作るなら、ロケーション撮影を1日でまとめる

営業動画を複数本作る場合(例:「導入効果」「使い方」「事例紹介」の3本)、同じロケーション・同じ出演者での撮影を 1~2日で集中 させるのが現実的です。そうすることで、1本あたりの制作費が20~30%削減できます。

3:企画段階での「情報整理」が何より重要

制作会社に丸投げするのではなく、企画段階での意思疎通がカギ です。

  • 何を伝えるか(メッセージ)
  • 誰に伝えるか(ターゲット)
  • どうなってほしいか(ゴール)

この3点を社内で合意してから、制作会社に相談すれば、修正回数が減り、結果として費用と時間が削減されます。


最後に

営業動画の成約率が上がらないのは、クオリティの問題ではなく、「企画段階での設計」 の問題であることがほとんどです。

  • 視聴者の課題を冒頭で提示したか
  • メッセージが1つに絞られているか
  • 製品説明でなく、「体験」を見せているか

このポイントを意識するだけで、動画の効果は大きく変わります。

もし、営業動画の制作を検討されているなら、ぜひ一度ご相談ください。目的や視聴者、伝えたいメッセージを整理した上で、最適な制作プランをご提案させていただきます。


営業動画の制作やご相談について、ご興味があればお気軽にお問い合わせください。

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