採用動画を作るとき、多くの担当者が迷うのが「誰を主役にするか」です。経営者や人事を前面に出すべきか、若手の社員を映すべきか、外部のモデルを使うべきか。正解は一つではありませんが、判断の軸を持っておくと迷いが減ります。この記事では、主役の置き方が見る人の受け取り方をどう変えるかを整理し、大成建設の公式動画を一つの事例として紹介します。読み終えたとき、自社の採用動画で「誰の視点で見せるか」を、目的から考えられるようになります。
採用動画の主役を決めるのが難しい理由
目次
採用動画の目的は、会社の魅力を伝えることだけではありません。応募を考える人が、自分がその会社で働く姿を想像できるかどうかが大切です。
ところが、経営者や広報が作る動画は、理念や方針が中心になりがちです。見る側にとっては、会社の考え方は分かっても、自分の毎日がどう変わるのかが見えにくくなります。逆に、現場の様子だけを並べると、会社全体の考えが伝わりにくくなることもあります。
主役の選び方は、この「伝えたいこと」と「見る人が知りたいこと」のバランスを取るための判断です。
主役を社員という設定に置くと何が変わるのか
社員という立場の人物を主役にすると、見る人は「この人と同じ立場なら、自分にもできそうだ」と感じやすくなります。特に、入社して数年の人物は、学生や転職を考える人にとって年齢や経験が近く、将来を重ねやすい存在です。
ここで大切なのは、社員を主役にすれば必ず効果が出る、と考えないことです。主役の立場や人物像が、伝えたい内容と合っているかどうかが前提になります。例えば、会社の方向性を伝えたいのに、個人の体験談だけで構成すると、全体像が伝わりにくくなります。
主役を社員の立場に置くことで期待できるのは、次のような点です。
- 見る人が、自分の将来と重ねて考えやすくなる
- 会社の働き方を、具体的な一人の視点で想像できる
- 理念や方針を、現場の言葉に置き換えて伝えられる
ただし、これらはあくまで一般的に考えられる効果であり、数値で証明されたものではありません。主役をどう置くかは、自社の採用の目的と照らして判断することが大切です。
大成建設の事例:入社2年目の社員という設定の主人公
大成建設は、2024年7月5日に公式YouTubeで「この仕事でかっこいいを探していこう the way we work.」を公開しました。この動画は、2030年の建築創造エンジニアの働き方を描いた作品です。
公式のニュースリリースでは、主人公は入社2年目の社員という設定で、先輩社員からデジタル技術を使った新しい働き方を体験し、建設業の魅力を見出していく流れとされています。動画の中では、デジタルツイン化された建設現場でのAIとロボットの協働、リモート朝礼、現場のサテライトオフィス化、遠隔での施工・監視・検査などが描かれています。
ここで注目したいのは、主人公の立場です。入社2年目という経験は、学生にとって「数年後の自分」を想像しやすい位置にあります。また、建設業の中でも先進的な働き方を、一人の目線で見せる構成になっています。
なお、公式資料は「大成建設の社員が未来の建設現場で働くスタイルを描いた」と説明していますが、出演者が実際の社員かどうかは公式には示されていません。この記事では、主人公は社員という「設定」の役として紹介しています。
大成建設の事例から考えたい3つの視点
同社の動画から、採用動画の主役を考える際の視点を整理します。
1. 主役の立場は、見てほしい相手に近いか
入社2年目という設定は、学生や若手の転職検討者が重ねやすい立場です。自社が狙う応募者層に近い人物像を選ぶと、伝わりやすくなります。
2. 主役の体験を通じて、会社の方向性を見せる
主人公が先輩から新しい働き方を学ぶ流れは、会社の方向性を一人の体験として描く構成です。理念を語るより、体験を見せるほうが、見る人に実感として残りやすくなります。
3. 一本で完結させず、シリーズや別の動画と組み合わせる
大成建設は「DXで変わる働き方~2030年の現場」のように、工事の種類ごとにシリーズを展開しています。トンネル編、陸上土木編、橋梁編などがあり、見たい情報に応じて動画を選べる形にしている点も参考になります。
社員という設定の主役を置く採用動画のメリットとデメリット
メリット
見る人が自分の将来を想像しやすくなります。また、会社の働き方を、具体的な一人の視点で伝えられるのも特徴です。社内にとっても、社員が登場することで、動画に関わる意識が高まることがあります。
デメリット
個人の印象が強く残るため、会社全体の姿が伝わりにくくなることがあります。また、出演する社員の負担や、撮影の調整も必要です。さらに、動画の効果を数字で測るのは簡単ではなく、公開後にどう活用するかを考えておく必要があります。
自社で主役を決めるための確認ポイント
主役を決める前に、次の3点を整理しておくと判断しやすくなります。
- 見てほしい相手は誰か(学生、転職者、既存の社員など)
- その人が知りたいのは、会社の理念か、日々の働き方か
- 主役の立場は、その相手が自分を重ねられる距離にあるか
この3点を決めてから、社員、経営者、外部の人物のどれを主役にするかを選ぶと、動画の方向性がぶれにくくなります。
まとめ:主役の置き方は、見る人が自分を重ねられるかで決める
採用動画の主役は、見る人が自分の将来を想像できる立場かどうかで選ぶと考えやすくなります。大成建設の「the way we work.」は、入社2年目の社員という設定の主人公を置いた事例として、その考え方の一つを示しています。
ただし、主役を社員にすれば必ず効果が出るわけではありません。伝えたい内容と見る人の関心が合っているかを確認し、自社の採用目的に合う主役を選ぶことが大切です。
自社の採用動画で、主役をどう置くかを整理したいと感じたら、無料相談で一緒に考えることもできます。今の状況を話すところからで大丈夫ですので、必要なときに下記からご連絡ください。

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