伝わらない原因はここかも。中小企業の発信で起きがちなズレと直し方

「ホームページを作ったのに問い合わせが来ない」「動画を作ったけれど反応が薄い」。そう感じている経営者や担当者の方は少なくないと思います。原因は、商品やサービスの良さが足りないことよりも、会社が言いたいことを優先して並べてしまっていることにある場合が多いです。この記事では、中小企業の発信でよく見かけるパターンを整理し、見る側の立場から言葉を組み直すための考え方を、具体例とあわせて解説します。


会社の発信でよく見かける「言いたいこと優先」のパターン

目次

まずは、多くの会社のホームページや会社案内で見かける書き方を確認してみましょう。

「創業以来」「技術力」「安心の品質」から始まる文章

「当社は創業50年の実績を持つ、地域に根ざした会社です。長年培った技術力と、安心の品質で、多くのお客様に選ばれてきました。」

この文章は、どの会社にも書けてしまう内容です。事実としては間違っていませんが、読む側は「それで自分の困りごとが解決するのか」を判断できません。会社の歴史や自己評価が先に来ると、見る人は次の行に進みにくくなります。

強みを並べるだけで、お客様の困りごとに触れないページ構成

トップページに「強み」「実績」「会社概要」「代表挨拶」が並び、お客様が抱えている悩みや、そこで何が解決できるのかが後回しになっているケースです。

例えば、工場の機械を扱う会社であれば、「高精度の加工」が強みだとしても、読み手が知りたいのは「納期が遅れがちなときにどうなるのか」「小ロットでも頼めるのか」といった点かもしれません。自社が誇りに思っていることと、相手が知りたいことが一致していないと、ページを読み進めてもらえません。

動画でも、社長の挨拶や会社紹介が長くなってしまう理由

会社の動画でも、冒頭から社長の挨拶が長く続き、会社の沿革や事業内容が順番に紹介される構成はよく見られます。作り手にとっては、伝えるべきことが多く、順番どおりに並べるほうが自然に感じられるからです。

しかし、視聴者にとっては「この動画を最後まで見ると、自分に何が得になるのか」が分からないまま時間が過ぎていきます。動画の離脱は冒頭に集中しやすいことが、動画配信の分析でも報告されています。ただし、冒頭何秒で決まるかを示す明確な数値は確認されていないため、ここでは「冒頭で離脱が起きやすい」という傾向として受け止めてください。


なぜ「言いたいこと」だけでは届きにくいのか

ここでは、受け手の側に起きやすい心理を一般的な考え方として整理します。

見る側は「自分に関係があるか」を判断する傾向がある

人は、情報に触れたときに「これは自分に関係があるか」を優先的に処理する傾向があるとする研究があります。ホームページでも、この傾向が働くと考えられます。ただし、これはすべての人に必ず当てはまるものではなく、課題や状況によって変わるという見解もあります。

ホームページについては、最初の10秒ほどが、ページを読み続けるか離れるかの分かれ目になるとする調査もあります。だからこそ、会社の自己紹介よりも、読み手に関係のある内容を先に伝えることが大切になります。

受け取る側は「自分の悩みに答えてくれる言葉」を探している

検索や比較の段階にいる人は、自分の悩みに答えてくれる情報を探しています。たとえば「ホームページの問い合わせを増やしたい」と考えている人にとっては、「会社の歴史」よりも「問い合わせが来ない原因」の説明のほうが、読む理由になりやすいです。

これは一般的な傾向であり、自社の業界や顧客によって響く言葉は変わります。


伝えたいことを「聞きたいこと」に変える言葉の選び方

ここからは、実際に言葉を組み直す方法を見ていきます。

言い換えの基本は「自社の特徴」から「相手にとっての意味」へ

よくある言い換えの例を挙げます。

  • 「当社は迅速な対応が強みです」 → 「ご相談から○日以内に担当者よりご返信します」(※数字は実際の運用に合わせて差し替えてください)
  • 「高品質な製品を提供しています」 → 「不良品が出たときの対応まで、こちらで責任を持ちます」
  • 「地域に密着した会社です」 → 「近くにお伺いできるので、急な修理にも対応しやすい体制です」

ポイントは、「自分たちがどうかではなく、相手にとって何が起きるか」を書くことです。形容詞(迅速、高品質、密着)だけでは、相手の行動は変わりにくいと感じられることがあります。

自分たちの「当たり前」を疑う

業界の専門用語や社内の言い回しは、社内では自然でも、外の人には伝わりにくいものです。たとえば「ロットの小さい案件にも柔軟に対応します」は、業界の人には分かっても、一般の担当者には「ロットとは何か」から説明が必要かもしれません。

専門用語は避けるか、一言で補足することを心がけてください。

本音や弱みを一言添えると、信頼感につながると感じられることがある

「正直に言うと、大手と比べて価格は高めです。その代わり、小ロットでも細かい調整に応じられます」といった一言は、かえって信頼感につながると感じられることがあります。すべてを良く見せようとすると、作り物っぽく見えてしまうこともあるためです。

ただし、弱みを書く場合は、その後にどう対応するかを必ず添えてください。弱みだけを書くと、不安が残ってしまいます。


今日からできるズレのチェック方法

大がかりな作業をしなくても、次の3つを試すだけで、自社の発信を見直せます。

HPの見出しを読み返して、「お客様の何が変わるか」を一行で書けるか確認する

トップページや各サービスページの見出しを順に読み、「この見出しを読んだお客様の困りごとが一つ減るか」を確認します。一行で説明できない見出しは、言いたいことだけになっている可能性があります。

営業トークや動画の冒頭を、社外の人に聞いてもらう

社内の人は、会社の事情を知っているため、どうしても補って理解してしまいます。取引先や知人など、会社の事情を知らない人に冒頭だけ聞いてもらい、「何の話か分からなかった部分」を教えてもらうと、ズレが見つかりやすくなります。

「自分たちが言いたいこと」と「お客様が知りたいこと」を2列で書き出す

紙やスプレッドシートに2列を作り、左に自社の言いたいこと、右に顧客が知りたいことを書き出します。左右の対応がつかない項目は、ページや動画から削るか、言葉を変える候補になります。


営業・マーケティング・動画に共通する考え方

このズレの考え方は、ホームページだけでなく、営業やマーケティング全体に当てはまります。

営業トークで効きやすい、相手の困りごとからの順番

営業の場面でも、「当社の歴史」から話し始めるよりも、「相手の困りごと」から入るほうが話を聞いてもらいやすいことが多いです。

  • 相手の困りごとを確認する
  • その困りごとに対する解決の方向性を示す
  • 自社の強みを、その解決に結びつけて説明する

この順番は、ホームページの構成や、動画の冒頭にも応用できます。

動画でも、冒頭に視聴者の悩みを置く

動画は、冒頭で「この動画は自分に関係がある」と感じてもらえるかどうかが大切です。会社紹介から始めるのではなく、視聴者の悩みや問いかけから始めると、最後まで見てもらいやすくなります。


よくある質問

伝えたいことを全部削ると、会社の魅力が伝わらなくなりませんか

削るというより、順番と優先度を変えるイメージです。会社の魅力は残しつつ、相手の悩みに答える部分を先に置くと、魅力が伝わる前に読むのをやめられる状況を減らせます。

自社の強みを聞きたいことに変えるには、何から始めればいいですか

まずは、お客様から実際に寄せられた質問や相談内容を振り返るのがおすすめです。その言葉をそのまま見出しに使うと、ズレが小さくなります。

社長の想いは、どこで入れるのがよいですか

想いは大切ですが、冒頭に置くと読み手の関心が薄れることがあります。まずは相手の悩みに触れ、解決の考え方を示したうえで、最後に代表の言葉として添えるのも一つの方法です。

言い換えが正しいか、どう判断すればいいですか

社外の人に読んでもらい、「何をしてくれる会社か」が伝わったかを聞くのが簡単な方法です。答えに困った場合は、まだ自社の言葉が残っているサインかもしれません。


まとめ

中小企業の発信で伝わりにくさが生まれる原因は、会社の良さが足りないことよりも、言いたいことを先に並べてしまうことにあるケースが多いです。見る側の立場から、「自分にとって何が変わるのか」を先に書くことで、受け取り方は変わりやすくなります。

まずは、HPの見出しを一つ選び、「お客様の何が変わるか」を一行で書いてみてください。

自社の発信を一緒に整理したいと感じられたら、お気軽にご相談ください。まずは今の状況を確認するところからで大丈夫です。 お問い合わせはこちら:https://business-accel-movie.com/contact/

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