動画活用で気をつけたい表現の注意点|感動的な映像が逆効果になる3つのリスクと回避策

動画活用は、伝えたいことを映像で分かりやすく届けられる手段です。しかし、感動的な映像ほど、受け取る側の解釈が広がりやすく、意図しない誤解を招くことがあります。

この記事では、動画活用で起きやすい3つのリスクと、それぞれの回避策を整理します。読み終わったときに、自社の動画を公開前に確認すべきポイントが分かるようになります。


感動的な映像が招きやすい3つのリスク

動画活用では、映像・音楽・ナレーション・体験談が組み合わさることで強い印象が生まれます。その印象が、事実以上の期待につながることがあります。ここでは、特に起きやすい3つのリスクを紹介します。

消費者庁は、広告の表示が消費者にどう受け取られるかを、一部の文言ではなく表示全体で判断するとしています。映像も同じく、全体の流れや雰囲気が与える印象で判断されると考えるのが安全です。

リスク1:効果を断定しているように見える

映像の中で「必ず効く」「誰でも変わる」といった言葉を使わなくても、映像の流れだけで結果が確実であるかのように見えることがあります。たとえば、課題が解決したシーンだけを続けて見せると、視聴者は「この通りになる」と受け取りやすくなります。

回避策:効果の前提条件と根拠を示す

映像の中や近くに、対象者、期間、使用環境などの前提条件を示しましょう。あわせて、その効果を裏付ける調査の内容も確認しておく必要があります。根拠のない結果を映像で見せないことが、誤解を防ぐ第一歩です。

リスク2:体験談が全員に当てはまると受け取られる

実際の利用者の声は説得力があります。しかし、ひとりの体験は、その人の状況に基づくものです。強い体験談を見せると、視聴者は「大体の人も同じ結果になる」と思いやすくなります。

回避策:実際の結果の分布に合った体験談を選び、割合を示す

体験談の前に「個人の感想です」と書くだけでは、誤解を防ぐには不十分です。消費者庁の調査でも、こうした注記に気づいても、体験談から受ける印象はほとんど変わらないとされています。

大切なのは、実際の効果の分布に合った体験談を選ぶことです。そのうえで、調査の被験者数や、同様の効果が得られた人と得られなかった人の割合を明示することが、誤認を防ぐ対応になります。

なお、医薬品などの規制業種では、効果や安全性についての使用体験談そのものが認められない場合があります。その場合は、注記を付けて使うのではなく、体験談を使う方法自体を見直す必要があります。

リスク3:演出が実際以上の結果を連想させる

Before/Afterの対比や、色調・音楽の変化は、視聴者の感情を大きく動かします。しかし、その演出が示す変化が実際の結果と一致していなければ、誇張と受け取られるおそれがあります。

米国食品医薬品局(FDA)は、ある医薬品の患者体験動画について、映像の気分・照明・音楽の変化が、実証されていない結果を示唆すると指摘しました。第一三共はこの動画を削除したと説明しています。これは米国の処方薬の広告に対する指摘であり、日本の一般的な動画活用に同じ規制がそのまま当てはまるわけではありません。ただ、演出が結果を連想させるという考え方は、業種を問わず参考になります。

回避策:演出と根拠資料を対応させる

演出で見せる変化が、どの資料や数値に基づいているかを制作前に整理しておきましょう。根拠がない演出は、表現を抑えるか、削る判断も必要です。

また、動画で打消し表示(注意書き)を入れる場合は、表示時間が短すぎないか、音声で読み上げるか、強調表示と同時に見えるかといった点にも気をつけてください。小さい文字を一瞬だけ出すような併記では、視聴者の目に留まりにくく、効果としては不十分になる可能性があります。


リスクを防ぐための確認フロー

回避策を実行するには、制作の途中で確認する仕組みが必要です。ここでは、動画活用の制作工程に組み込みやすい確認フローを紹介します。

制作前:根拠資料を揃える

映像に入れる数値、体験談、効果に関する情報について、根拠となる資料を先に集めます。消費者庁の指針でも、長所や要点を訴求する表示には根拠情報の確認が求められています。資料がないものは、表現を変えるか、使わない判断をします。

制作中:表現の確認を行う

脚本や字コンテの段階で、表現を一つずつ確認します。映像が完成してから直すと、修正の手間とコストが増えやすくなります。また、制作を外部の会社に依頼する場合は、表現の根拠や禁止したい表現を、委託先に具体的に伝えておくことが大切です。

公開前:担当者と関係部署で確認する

表示の管理を担当する人を決め、広報、法務、営業など関係する部署で確認する体制をつくっておくと安心です。社内で役割を分けておくと、確認の抜け漏れを防げます。


動画活用のメリットとデメリットを整理する

動画活用には、大きなメリットがあります。映像は文章よりも短時間で内容が伝わり、商品やサービスの雰囲気も届けられます。また、社員や顧客の声を届けることで、企業への信頼感を高める効果も期待できます。

一方で、デメリットもあります。表現の確認には時間がかかり、修正が増えれば制作期間や費用も増えやすくなります。さらに、感動や誇張を優先すると、かえって信頼を損なうおそれがあります。規制のある業種では、体験談そのものが使えないこともあり、企画の段階で制約を把握しておく必要があります。

メリットを活かすためには、表現の確認を最初から制作の工程に組み込むことが大切です。


感動と正確さを両立する動画活用のまとめ

感動的な映像は、動画活用の大きな強みです。しかし、その強みが逆効果になるのは、表現の根拠や前提条件が伝わっていないときです。

本記事で紹介した3つのリスクと回避策を、ご自身の動画に当てはめて確認してみてください。効果の前提と根拠、体験談の選び方と割合の示し方、演出と根拠資料の対応という3つの視点を持つだけでも、公開後の誤解を防ぎやすくなります。

個別の動画が適法かどうかは、商材や表現によって異なります。特に医薬品や健康食品などの規制業種では、法務や専門家の確認を受けたうえで制作を進めることをおすすめします。


動画制作を検討している方へ

動画活用の目的や、表現の確認をどう進めるかを整理したい場合は、お気軽にご相談ください。制作の流れや依頼前に決めておきたいことを、一緒に確認することもできます。

お問い合わせはこちらから受け付けています。

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