TikTokで若年層に認知を広げる企業の施策事例と始め方

「若い世代にブランドが届かない」。そんな悩みを抱えている担当者の方は多いのではないでしょうか。商品の名前は知られていても、若い層の印象に残らない。そうした課題は、BtoC寄りの商材を扱う企業ほど感じやすいものです。

この記事では、TikTokを使って若年層にブランド認知を広げた事例を一つ取り上げ、自社で考えるときの判断材料を整理します。結論から言うと、TikTokは「すぐに売る場所」ではなく、「まず知ってもらう場所」として検討する価値がある媒体です。ただし、効果は施策の設計や測り方によって大きく変わります。読み終えると、自社がTikTokで認知を狙うべきかを判断する視点と、最初に決めるべきことがわかるはずです。


若年層にブランドが届きにくい理由

ブランドが若い世代に届きにくい理由は、商材との接点が少ないことにあります。たとえば、エアコンのように若い世代が自分で購入する機会が少ない製品は、そもそも関心を持つきっかけが限られます。

ダイキンのニュースリリースでも、エアコンを自ら購入する機会が少ない若年層に対するブランド認知の向上に注力していると説明されています。商材が身近でないなら、まず「存在を知ってもらう」ことから考える必要があるのです。

また、ダイキンの担当者は、エアコンには興味がないため、広告が届いても印象に残りにくいという課題を語っています。興味のない商材の広告は、見られても記憶に残りにくいのです。


TikTokで若年層に届きやすい仕組み

TikTokの「おすすめ」フィードには、利用者の興味に合わせて動画が表示されます。そのため、フォロワーではない人にも動画が届く可能性があります。ただし、TikTok社は、フォロワー数の多いアカウントの方が再生回数が多くなる可能性があるとも説明しています。フォロワーが少ない企業でも届く可能性はありますが、確実に届くわけではない、という点は押さえておきたいところです。

広告についても、TikTokのインフィード広告は、オーガニックコンテンツと同じ「おすすめフィード」にネイティブ形式で配信されます。広告であることを前面に出しすぎない形で届く点が、この媒体の特徴の一つです。


事例で見るTikTokのブランド認知施策

ここでは、ダイキンの施策を事例として紹介します。同社は2022年と2023年に、どちらも若年層のブランド認知を目的とした施策を実施しています。

ハッシュタグチャレンジで「楽しむ入口」を作る(2022年)

2022年7月29日から、ダイキンは「#ダイキンのエアコンを救え」というハッシュタグチャレンジを開催しました。音楽ゲーム風のエフェクトを提供し、ユーザーが楽しく動画を投稿できる仕組みです。

エフェクトは、夏のフル稼働で疲れたエアコンを助けるという物語になっています。冷房や除湿で取り除かれる「湿度」を、ユーザーが音に合わせて倒していく内容です。目的は「エアコンといえばダイキン」というイメージの醸成でした。一方で、リリースでは「湿度コントロール」が理想の空気環境づくりに欠かせないことも伝えたいと書かれており、製品の価値を楽しさの中に織り込む意図がうかがえます。

また、このチャレンジでは若年層に人気の動画クリエイター6名も参加し、チャレンジを盛り上げました。

人気クリエイターの起用で「エアコンの会社」と伝える(2023年)

もうひとつは、人気クリエイターを起用した広告施策です。ターゲットは18〜24歳で、目的は社名の認知だけでなく、「エアコンの会社」であることを伝えることでした。担当者は、今回の対象層では認知度が低い状況だったと語っています。

動画では、「ダイキンがエアコンの会社であることを伝えたい」という思いが執念となり、4組のクリエイターに次々と乗り移ってダイキンのPRを行う、という物語が描かれました。この施策で、PR担当役を演じたのは実在の担当者ではなく、クリエイターです。


成果の数値と、読むときの注意点

この施策では、広告認知が31.4%増、ブランド想起が9.0%増と発表されています。この数値は、TikTok for Businessによるブランドリフト調査の結果です。調査期間は2023年2月23日〜3月12日で、広告に接触したグループと接触しなかったグループにアンケートを行い、その回答の差分から算出されています。

ただし、9.0%の値は、クリエイター投稿とダイキン公式の投稿を組み合わせて発信した場合の結果です。施策の一部だけで得られた数値ではないという点に注意が必要です。

また、調査を行ったのはTikTokという広告媒体です。第三者による検証は確認できていないため、数値は「一つの事例の結果」として受け止め、自社の成果として単純にあてはめないことが大切です。

さらに、認知施策の成果は「見られた回数」だけでは判断しにくいものです。広告認知、理解、ブランド想起、好意度といった指標を分けて見ることで、どの段階に効いたのかが見えてきます。たとえば、認知は上がったが好意度は変わらない場合、動画の内容を見直すべきサインかもしれません。


自社で取り組む前に確認したいこと

TikTokで認知を狙う前に、次の3点を確認しておくと判断しやすくなります。

ターゲットが本当に若年層か
商材の購入者や関心層の年齢を見直しましょう。若年層が直接の顧客でなくても、将来の購買や社会的な認知のために意味がある場合もあります。

伝えたいことを一言にできるか
「何を知ってほしいのか」が一言で言えないと、動画がまとまりません。ダイキンのクリエイター施策では「エアコンの会社」という認知に絞られていました。

投稿後の反応をどこで見るか
再生数やコメントなど、確認する指標を事前に決めておくと、改善につなげやすくなります。


TikTok施策のメリットとデメリット

メリット 若年層に届きやすく、フォロワーではない人にも情報が広がる可能性があります。楽しさを前面に出した表現もしやすく、堅い印象の企業でも親しみを持ってもらうきっかけになります。ダイキンのチャレンジのように、ユーザーが参加できる形にすると、動画を見るだけでなく投稿する体験にもつながります。

デメリット 即効性は限定的で、すぐに売上に結びつくとは限りません。トレンドの移り変わりも早いため、流行に合わせた企画を続けるには手間がかかります。また、ユーザーの反応は予想と異なることがあり、コメント欄への対応や炎上リスクへの配慮も欠かせません。


よくある質問

Q1:TikTokは中小企業でも取り組めますか
取り組めます。ただし、若年層に伝えたい内容が明確であることが前提です。予算や体制に合わせて、まずは小さく試すところから始めると負担を抑えられます。

Q2:広告とオーガニック投稿のどちらから始めるべきですか
目的によって異なります。反応を見たい段階ではオーガニック投稿から、短期間で多くの人に届けたい場合は広告を検討するとよいでしょう。どちらを選ぶかは、社内で目的を整理してから決めることをおすすめします。

Q3:認知の効果はどのように測ればよいですか
広告のブランドリフト調査に加えて、再生数、完了率、コメントの内容、指名検索や流入の変化などを組み合わせて見ると、全体像がつかみやすくなります。


TikTokで認知を広げるための最初の判断

TikTokは、若い世代にブランドを知ってもらうための選択肢のひとつです。ダイキンの事例からは、楽しめる入口を作ることと、伝えたいことを絞ることの両方が見えてきます。同時に、数値は一つの事例の結果であり、自社で同じ成果が出るとは限らないことも忘れないようにしてください。

まずは、ターゲットと伝えたいことを言葉にするところから始めてみてください。

動画の企画や、どの施策から始めるかで迷ったら、お気軽にご相談ください。私は動画制作を担当しており、TikTokの広告運用や戦略設計は行っていません。ただ、目的や伝えたいことを整理し、動画の形にするところまでは一緒に進められます。無料相談は時間の制限なくお受けしています。 👉 無料相談はこちら

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